凍結深度と凍上のメカニズムについて

目次

  • 凍結深度とは何か?
  • 凍結の恐ろしさ
  • 凍上のメカニズム
  • 凍上の対策

凍結深度とは何か?

凍結深度とは文字通り凍結の深さのこと。といってもいまいちよくわかりませんよね。
地中は温度が一定で、深さ10m程度になると温度は冬でも10℃前後となります。しかし、寒冷地では冬になると気温が0℃になり、表面から地面を冷やしていきます。そして地中の水分がマイナスに達すると凍ってしまいます。その地面が凍結する深さのことを言います。
また、一概に寒い地域ほど凍結深度が深いわけでもなく、実際には雪が積もると雪が断熱層となり、凍結深度が思ったより浅いこともあります。
各地域の凍結深度の目安は行政が出していることが多いですが、地元の工務店に聞くと、彼らは経験から把握しているのでより安全です。また、計算で求める方法もあります。

凍結の恐ろしさ

なぜ寒冷地で凍結深度が重要かと言うと。凍結深度を考慮しないで建物や配管をすると大変なことになるからです。
詳しい原理は後述しますが、簡単に言うと、地面が凍ると水が氷になり、体積が増えて地面を押し上げます。これを「凍上」とか「凍み上がり」とか言いますが、そこに建物の基礎や配管があるとどうなるでしょうか。地面を押し上げる力はとても大きくて、建物が傾いたり、大切な基礎にヒビが入ったり、配管が破裂したりします。

凍上のメカニズム

地下滞水などが毛細管現象で土粒子の隙間に吸い上げられ、凍結深度付近で凍結する。最初は上部の土の重さで横に広がった状態で凍結し、氷結晶となる。水分の供給が十分にある場合、これが繰り返されることで、氷結晶は成長し、アイスレンズと呼ばれる氷塊層となる。
ところで、水が凍結してもその体積膨張は約9%なので、土中の水がその場で凍るだけなら深刻な隆起は発生しない。しかし、アイスレンズが発達して分厚くなると上部の拘束力が低い方向へ押し上げて、地表面を隆起させる。これが凍上のメカニズムです。

凍上の対策

これまでの説明で分かることは、凍上は温度・土質・水の3条件が同時に揃った場合に生じるということです。逆に、これらの条件を一つでも除去、改善できれば、凍上を抑止することができます。
では実際に基礎や配管が凍上被害を受けないようにするにはどうすればいいのか。いくつか例をあげると、

  • 凍結深度より深く設置する
  • 凍結深度以上の土を水が入らない、または水はけのよいものに置換する
  • 土中の水分に冷気が伝わらないようにする

などがあります。
それぞれの具体的な方法は別の機会にまとめたいと思います。

凍上についてはよく理解して対策をしないと、重大な事故に繋がったり、逆に過剰な設計となり、工事費が跳ね上がったりするので注意が必要です。私もさらに知識を深めていいものを作っていきたいです。