UYNA IDENTITY DESIGN
ブランドアイデンティティ設計・グラフィックデザイン・ロゴデザイン
2024年-
Site:福島県南相馬市
Photo:中川雄斗
設計・デザイン:中川雄斗
UYNAという建築設計事務所の活動理念や価値観を共有するため、ブランドアイデンティティの設計を行いました。
ロゴマーク、名刺、SNSツールなど、事務所を構成するさまざまな要素を一つの設計対象として捉えています。
建築が場所や暮らしの関係を編み直すように、ブランドデザインにおいても、情報や価値の伝わり方を設計することを試みています。
ロゴデザイン

UYNAという名称は、設計事務所としての姿勢を明確にするため、「UNCONSUMED」という言葉を起点に設定しました。
大量消費社会の中で、建築や地域が一時的に消費される存在になるのではなく、時間の中で価値を持ち続けるものをつくる。その意思を事務所名そのものに込めています。
Unconsumed Yuto Nakagawa Architectsの頭文字からUYNAとし、アルファベットの組み合わせについても検討を重ねました。既存の企業や団体名との類似を避けながら、独自性を持つ組み合わせとしています。
また、「UYNA」は日本語では「ユイナ」と読むことができ、建築設計事務所としての専門性だけではなく、人や地域に寄り添う柔らかさを感じられる響きを持たせています。
ロゴデザインでは、既存書体を使用するのではなく、UYNAのためのタイポグラフィ制作から始めました。
「ユイナ」という柔らかな響きや、つくられたものが時間の中で残り続けるための柔軟性を表現すると同時に、建築設計事務所としての洗練された佇まいを持たせるため、曲線を主体とした書体を設計しました。
さらに、UYNAの4文字を組み合わせることで、単なる文字表記ではなく、事務所の理念を象徴するロゴマークとしてデザインしています。
ロゴマークには、「消費されない」という考え方を、水を受ける器のイメージとして表現しています。
人の欲望を水に例えたとき、器が満たされ続ければ、いつか水は溢れ、それ以上受け入れることができなくなります。その状態を消費の一つの姿として捉えています。
一方で、器に穴が開いていれば、水は循環し続け、常に新しいものを受け入れることができます。
UYNAのロゴでは、その穴の開いた器のような状態を、柔軟性や工夫、おおらかさの象徴として表現しました。建築においても、固定された価値ではなく、変化を受け入れながら時間とともに育っていく場所をつくりたいという考えを込めています。
また、ロゴに用いた色は、赤・青・黄色の三色をわずかにずらしながら重ねています。
異なる色が完全に一つへ統合されるのではなく、それぞれの個性を残しながら部分的に重なり合う状態を表現しています。
これは、地域や人、文化、素材など、異なる要素が一つの意味に回収されることなく、関係性を持ちながら共存する状態を示しています。
建築や地域においても、多様な価値が重なり合い、新しい関係性を生み出すこと。その考え方をロゴデザインにも反映しています。
名刺デザイン

名刺は、人と出会う際に一時的に情報を伝えるための媒体として使われます。しかし、その情報自体に十分な価値が感じられなければ、役割を終えた後に簡単に捨てられてしまうものでもあります。
UYNAでは、「消費されない建築と地域」という考え方を、建築だけではなく、事務所を構成するさまざまな要素にも反映したいと考えました。
そこで名刺を単なる情報媒体ではなく、手に触れ、残り続ける物質として捉え、素材や加工方法から設計を行いました。
用紙には、古紙を再生してつくられた厚手のチップボール紙を採用しています。
チップボール紙には、再生された紙の中に以前の素材の痕跡として、さまざまな粒や表情が残っています。それは均質につくられた新しい素材とは異なり、過去の履歴を持ちながら新たな価値として生まれ変わった素材です。
また、一枚ごとに異なる表情を持つことは、それぞれが固有の存在になることにもつながります。
素材が持つ循環性や時間の蓄積という特徴が、UYNAの「消費されない」という考え方と重なると感じ、この紙を選択しました。

デザインは、表面と裏面で役割を分けています。
表面には、UYNAのロゴと社名、そして「消費されない建築と地域」というステートメントを配置し、事務所の思想を伝える面としました。
一方、裏面には氏名や連絡先など、機能的な情報を整理して配置しています。
情報を伝えるだけではなく、名刺そのものがUYNAの姿勢を表現する媒体となるよう、構成を設計しました。
印刷には活版印刷を用い、文字や線の部分に凹凸を生み出しています。
インクが紙の表面に乗るだけではなく、押された痕跡として残ることで、視覚だけではなく触覚でも情報を感じられる仕組みとしました。
また、ロゴ部分のみ裏面から凸加工を施し、表裏をつなぐ立体的な表現としています。
平面的なグラフィックではなく、紙そのものに変化を与えることで、名刺を一つの小さなプロダクトとして成立させることを目指しました。
さらに、ステートメントや氏名、ロゴの塗り面には黄色のハイライトを施し、ランダム印刷という特殊な印刷方法を用いました。
ランダム印刷では、印刷の過程で黄色に異なる色が少しずつ混ざりながら刷られるため、一枚ごとに異なる色の表情が生まれます。
均一な製品として大量に複製されるのではなく、それぞれがわずかな違いを持つ固有の存在になる。
その偶然性や揺らぎを含めて、名刺そのものに「消費されない」という考え方を込めています。
この名刺デザインは、UYNAにとって単なる営業ツールではなく、素材の履歴、加工の痕跡、偶然性を受け入れながら価値を持ち続ける「小さな建築」として設計したものです。
ロゴの展開




UYNAのロゴは、単一の形として固定されるものではなく、活動や情報に合わせて変化するグラフィックシステムとして設計しています。
通常の企業ロゴでは、中央に配置された社名やシンボルマークを固定して使用することが一般的です。しかしUYNAでは、ロゴの中心にある「UYNA」という文字部分を、NEWSやPROJECT、RESEARCHなど、その時々の情報や活動を示す言葉へ置き換えることで、さまざまな場面に対応できる仕組みをつくりました。
また、それぞれのカテゴリーに異なる色を設定し、線と面の組み合わせによって視覚的に識別できるようにしています。
この展開によって、ロゴは単なる事務所名を示すマークではなく、UYNAの活動全体を整理し、伝えるためのアイコンとして機能しています。
さらに、Instagramのストーリーズなどのデジタル媒体では、ロゴの形状をフレームとして応用しています。
ロゴは「穴の空いた器」のイメージからデザインされているため、その内側を切り抜いたフレームとして使用することで、その内部に写真や動画を配置できる構造としました。
固定された枠ではなく、内側にさまざまな情報や出来事を受け入れる器として機能させることで、ロゴに込めた「消費されない」「変化を受け入れる」という考え方を、日々の発信にも展開しています。
