小高の石蔵リサーチ

ODAKA STONE STOREHOUSE RESEARCH
地域リサーチ・アートブック制作
2024年-


Site:福島県南相馬市小高区
Research:中川雄斗

南相馬市小高区に残る石蔵を起点に、この土地と石との関係を調査・記録するリサーチプロジェクトです。

石蔵の分布や構法だけでなく、石材の産地や流通、石工の痕跡、地域の地形・地質、石仏や石碑、庭石など、石にまつわるさまざまな文化を横断的に読み解きながら、小高という土地の固有性を探っています。

本プロジェクトでは、現地調査や聞き取り、専門家との対談を重ね、その成果を書籍としてまとめることを目指しています。


Background|背景

私は「消費されない建築と地域」をテーマに活動しています。

建築は新しいものをつくるだけではなく、その土地に積み重なってきた時間や風土、文化を受け継ぎながら更新されていくものだと考えています。そのためには、設計を始める前に、その土地を深く知るためのリサーチが必要だと考えています。

小高へ移住して最初に印象に残ったのは、地域の各所に石蔵が残っていることでした。しかし、小高周辺には大規模な石材産地はほとんど知られておらず、なぜこれほど多くの石蔵が存在するのかという疑問が生まれました。

調査を進めると、石蔵だけではなく、庭石や石碑、石祠、大悲山石仏、横穴墓など、この地域には石がさまざまな形で人々の暮らしや信仰と関わってきたことが見えてきました。

石蔵は、その一つの入口だったのです。

What We Explore|リサーチしていること

・石蔵の分布・構法・年代

・使用石材の種類や産地

・石材の流通と石工の歴史

・地形・地質と地域文化との関係

・石仏・石碑・庭石など石文化の調査

・現代における石の再利用の可能性

Why Stone?|なぜ石なのか

石は建築材料であるだけではありません。

人は石を建築に用い、墓石をつくり、石仏を刻み、庭石を据え、祠や石碑として残してきました。

長い時間を変わらず存在し続ける石は、人々の祈りや記憶、風景を受け止める素材でもあります。

一方で現代では、採石場の減少や海外産石材への転換、公費解体によって残された庭石など、石との関係も大きく変わりつつあります。

本プロジェクトでは、小高という地域を通して、人と石との関係を改めて考え、これからの石の活かし方や地域資源としての可能性も探っています。

Publication|書籍制作

現在、約30棟の石蔵調査と聞き取りを進めながら、一冊の書籍としてまとめるプロジェクトを進めています。

本書は、石蔵の写真を中心としたアートブックでありながら、その背景にある石材の産地や流通、石工の痕跡、地形・地質、地域に残る石文化などについても収録し、多角的に小高という土地を読み解くことを目指しています。

建築、地質学、考古学など異なる専門分野の視点を交えながら、石蔵を単なる建築物としてではなく、地域の風土や歴史、人々の営みの中に位置付け直す一冊を制作しています。