Odaka Gunjo Concert
舞台美術
2024年
Site:福島県南相馬市
Photo:南相馬市地域おこし協力隊 本田奏
設計施工:中川雄斗(メイン舞台以外)
ミュージカル(「ものがたりの始まり」〜出逢いの森〜)とドローンアートを組み合わせた野外イベントの舞台美術設計と施工。
一般的な劇場ではプロセニアムアーチによって額縁のように舞台を区切ることで、ミュージカルの世界とそれ以外のものとの境界を設定する。しかし、小学校の校庭で行われるため、野外や仮設であるという条件や、舞台上の演者以外にもドローンや演奏者や観客や周りの樹木などの風景という多様な主体がいることから、舞台の上と下や裏と表などの境界を強く設定するのではなく、それぞれが混ざりながら一体となり、ミュージカルの中に入り込むような没入体験とそれぞれの主体が相乗効果を生むことを目指して計画した。
具体的には、全体的に円形の配置とし、メイン舞台の他に余っている材で組み立てた舞台、校庭にあった朝礼台舞台、客席側の花道、ドローン飛行時にドローンの下で踊る場所などを設けることで、メイン舞台以外の様々な場所で演者が演じることができるようにした。 また、小高で採集した草木や風船、布を吊るし会場全体の一体感・広がり・舞台周辺の密度をつくると同時に、演目の森という舞台背景や上部に吊るしたものに照明の色が映ることによって舞台の演出装置としても機能することを狙った。
素材は、小高区主催で小高で行われるイベントであることから、小高の海・山・街のそれぞれの場所から採集できるものを組み合わせた。
また、竹や木材などはなるべく加工しない設計とし、バラした後は他の場所で利用したり家具にする計画とした。
これらによって、体験と素材が消費されないことを目指した。